estimate_motor_20170904

MOSFETの見積もり

目的

今検討しているモータドライバはmaxonの30Wを想定したもの.しかし50Wへの出力増も見込まれる.
MOSFETのパッケージは3.3mm×3.3mmのものを使用したい(回路自体小さくしたい)
LFPAK33
しかし電流の増加による発熱の増加も見込まれるので,この回路のままで問題ないのか検討する.必要であればMOSFETのパッケージを変更する必要があるかもしれない.

モータスペック洗い出し

30Wと50WのmaxonモータのMOSFET選定に必要なスペックを洗い出す.

型番 200142 339285
出力[W] 30 50
公称電圧[V] 12 18
内部抵抗[Ω] 1.2 0.464
内部インダクタンス[mH] 0.56 0.322

電源電圧見積もり

Lipo4cellを想定
定格
$3.7*4=14.8V$
フル充電,1cell=4.2Vと仮定
$4.2*4=16.8V$

MOSFETの選定

50Wでの条件を適用し,問題ないかどうかを検討.

電源電圧より大きい必要がある.
Lipo4cellがフル充電状態で,サージのマージンを150%と見積もった場合, $$Vds > 16.8V*150\%=25.2V$$ となるので30V以上にする.

モータのストール電流より大きい必要がある.
非常に短時間であるので,基本的はパルス電流がストール電流を超えていればそれ以上は考慮しなくてもいい(ことが多い). Lipo4cellをストールさせた時,
50W
$$\frac{16.8V}{0.464Ω}=36.2A$$ 30W
$$\frac{16.8V}{1.2Ω}=14A$$ となるので,36.2A以上にする.

AI班あかつきさんより5Aあれば十分と意見をもらったのでそれを信じる方針でいく

電気的な所望の条件が出たのでこれで熱的に問題ないか概算する.

MOSFETがONとなって電流が流れているときの損失,ジュール熱で計算できる.
また.MOSFETはジャンクション温度が絶対定格を超えると燃えるので,ジャンクション温度が絶対定格を超えないようになる損失を求める.
導通損失$P_d$は,ドレイン電流を$I_d$,オン抵抗$R_{ds(on)}$として, $$P_d = R_{ds(on)}\times{I_d}^2$$ MOSFETのジャンクション温度$T_J$,
周辺温度$T_A$,
MOSFETのパッケージの熱抵抗$R_{\theta JA}$,
導通損失$P_d$の関係は $$T_J - T_A = R_{\theta JA}\times{P_d} = R_{\theta JA}\times R_{ds(on)}\times{I_d}^2$$ 今回は$I_d$が決まっているので,この関係よりジャンクション温度が限界を超えないようなMOSFETのオン抵抗を求める. $$R_{ds(on)} = \sqrt{\frac{T_J - T_A}{R_{\theta JA}\times{I_d}^2}}$$ MOFETのパッケージ熱抵抗は,放熱が厳しいという条件のもと,ワーストケースを想定する.NexperiaのMOSFETのデータシートより $$R_{\theta JA} = 178{\rm K/W}$$ を用いる.
以上より,いろんな条件でのON抵抗を求める. 電流は更に盛って10Aと仮定してみる.

$T_J$[℃] $T_A$[℃] $I_d$[A] $R_{\theta JA}$[K/W] $R_{ds(on)}$[mΩ]
175 25 10 178 8
150 25 7
150 30 6.7

よって,ロボット内部に搭載して周辺温度がちょっと上がるとしても,8mΩ以下のON抵抗のものにすれば導通損失は許容範囲内になりそう.

MOSFETは導通損失だけではなく,スイッチング損失も考慮しなければならいないのでこちらも考慮する.一般的にDCモータのPWM周波数程度であればスイッチング損失は導通損失に比べれば無視できるほど小さいが一応計算してみる.
スイッチング損失は,以下の式より求められる $$P_{sw}=\frac{1}{6}\times E \times I_d \times t \times f_{pwm}$$ 電源電圧$E = 16.8V$,

$t$の導出

立ち上がり,立ち下がり時間$t$(簡単のため同じ時間とする),
PWM周波数$f_{pwm}$のパラメータがあるので,これらを仮に設定する必要がある.
立ち上がり,立ち下がり時間は以下の式より求められる. $$t = \frac{Q_g}{I_g}$$ 本当ならミラー効果とか色々考える必要があるけど最も単純な概算でいこうと思う.
MOSFETのトータルゲートチャージ$Q_g$,
ゲートドライバのソース/シンク最大電流$I_g$
MOSFETのトータルゲートチャージは50nC,ソース/シンク電流は600mA(STSPIN32F0)とすると. $$t = \frac{Q_g}{I_g} = \frac{50 \times 10^ {-9}}{0.6} = 83 \times 10^{-9}{\rm s} $$

$I_d$の導出

(本来なら立ち上がりから見積もるべきだが,めんどいのでストール電流でみつもる(本来ありえないけど))
$I_d = 36.2A$としておく

$f_{pwm}$の導出

モータの電気時定数より短い周期である必要がある.電気時定数の逆数の10倍を$f_{pwm}$としてみる.

型番 200142 339285
$\tau$[ms] 0.46 0.69
$f_{pwm}$[kHz] 22 15

以上からスイッチング損失を出すと,
$$P_{sw}=\frac{1}{6}\times 16.8 \times 36.2 \times 0.83 \times 10^{-9} \times 22000 = 1.85{\rm mW}$$ となり,$P_d$と比較するとかなり小さい.
$f_{pwm} = 40kHz$としても$P_{sw}= 3.37{\rm mW}$ となり,温度上昇に換算しても0.59℃である.以上から仮に決定したこれらの数値でも問題ないと思われる.

まとめ

LFPAK33のパッケージのMOSFETを用いる場合,今回以下の条件を満たせばよい

パラメータ 数値
$I_{pulse}$[A] >36.2
$V_{ds}$[V] >30
$Q_g$[nC] <50
$R_{ds(on)}$[mΩ] <6.7~8

ようはこのMOSFETでもいけそう
PSMN2R4-30MLDX_Datasheet Digikey
他候補
BUK9M5R2-30EX
BUK9M6R6-30EX
BUK9M10-30EX
ただしSOAとかアバランシェとか考えてない,あとコンデンサいれてサージ対策を忘れないこと.

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  • 最終更新: 2018/02/21
  • by yuki_kusakabe