不確かさの定義,
「用いる情報に基づいて、測定対象量に帰属する量の値のばらつきを特徴付ける負ではないパラメータ。」
ISO/IEC Guide 99:2007 [ 国際計量計測用語-基本及び一般概念並びに関連用語(VIM)]
「真値」「誤差」という言葉は用いない,真値は誰もわからない前提の元,かたより,ばらつきを総合的に評価し,真値が含まれる区間を推定する.
根底は統計学なので,似ている部分,用いる数式は似ている,同じものは多々ある.
得られた測定結果を元にこれらの真値が含まれる区間を推定する(扱いとしては分布?)ことは,それこそカルマンフィルタにあげられるような状態推定などの議論にも結び付けられるのではないか,というのがモチベ
一例としてmpu9250の角速度について不確かさについて考える.
静止状態で,Yaw軸まわりの角速度を計測する.静止しているので角速度は0を示すはずである(この不確かさの議論において真値はわからないという前提だが)(RLGとかは静止状態でも地球の自転が検出できるレベルらしいけどここでは慣性座標系でのお話)
検出可能である最大角速度を±500deg/sと設定した.得られる値は16btiの分解能.
得られたセンサ値の平均値$\overline{x}$,感度$S_0$として,角速度を求める式は以下のようにモデル化可能
$$\omega = \frac{\overline{x}}{S_0} [{\rm deg/s}]$$
今回の測定において,不確かさの要因には
が挙げられる.
測定にはstm32f4discoveryを使用し,サンプリング周期20Hz,2048回サンプルした.
個々のデータを$x_1,x_2,…,x_{2048}$とし,データの平均値$\overline{x}$を求めると,
$$\overline{x} = \frac{1}{n}\sum^{n}_{k=1}x_{k} \approx -43.89 {\rm LSB}$$
繰り返し不確かさ$u(\overline{x})$を求めると,
$$u(\overline{x}) = \frac{s(x)}{\sqrt{n}} = \frac{1}{\sqrt{n}}\sqrt{
\frac{1}{n-1} \sum^{n}_{k=1}(x_k-\overline{x})^2
} \approx -0.17 {\rm LSB}$$
となる.
感度の不確かさを求める.今回は一様分布を仮定してBタイプ評価を行う.データシートより,
なので,この数値を用いて不確かさ$u(S_0)$を求めると,
$$u(S_0)=\frac{65.5 \times 0.03}{\sqrt{3}} = 11.34 {\rm \frac{LSB}{deg/s}} $$
となる.
それぞれの不確かさの感度係数を求める.感度係数は求める測定値に対して,不確かさの偏微分係数として表すことが可能,それぞれの感度係数$C_{\overline{x}}$,$C_{S_0}$を求めると,
$$C_{\overline{x}}= \frac{\partial \omega}{\partial \overline{x}} = \frac{1}{65.5}{\rm \frac {deg/s}{LSB}}$$
$$C_{S_0}= \frac{\partial \omega}{\partial S_0} = \frac{410}{42837}{\rm \frac {(deg/s)^2}{LSB}}$$
合成標準不確かさ$u_{C}(\omega)$はそれぞれの標準不確かさに感度係数をかけて単位を統一し,2乗和の平方根を取ることでもとめられるので,
$$u_{C}(\omega)=
\sqrt{\sum [C_{i}u(i)]^2}\approx0.017{\rm deg/s}(i = \overline{x},S_0)$$
となる.
拡張不確かさを求める,拡張不確かさ$U(\omega)$は合成標準不確かさ$u_{C}(\omega)$と包括係数$k$を用いることで
$$U_{C}(\omega) = k \times u_{C}(\omega) = 0.035{\rm deg/s}$$
となる.包括係数$k=2$とした.
ここまでできるとバジェット表が作れるがそれはまた今度